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首相はどこで、誰と会食しているか


2026年10月2日、金曜日の18時30分。高市早苗首相は公邸で、自民党の麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長ら党役員との会食を始めた。首相動静によると会食は19時45分まで続き、木原稔、尾崎正直、中西祐介の正副官房長官が同席している。

テレビ朝日によると、席には新任の村井国対委員長や青木参院幹事長ら約20人がそろい、9月の党役員人事の後では初めての会食だった。麻生副総裁が公邸での夕食会に加わるのも初めてだったという。3日後の10月5日、臨時国会が召集された。

首相の会食が少ないことは、就任のころから報じられてきた。日本経済新聞は2025年11月、就任から1カ月の間に夜の会食が一度もないと伝えた。沖縄タイムスに載った共同通信の2026年7月28日の記事は、就任から5カ月ほどはほとんど会食がなく、4月以降に自民党幹部らとの会食が急に増えたと書いている。

10月21日で就任から1年になる。会食は本当に少ないのか。4月に増えた後は、歴代の首相と比べてどのくらいか。回数のほかに違うところはあるのか。菅直人から高市早苗まで7人の首相動静から、首相が相手と食事をした記録を数えた。

動静に記録された会食は、高市早苗が7人の中で最も少ない。ただ、官邸と公邸での会食に限ると、回数は歴代の首相と同じ範囲に入る。差が出ているのは、ホテルや店に出かけて食事をする会食である。相手は党と国会運営の役職者が中心で、公邸での夕食にはほぼ毎回、官房長官と官房副長官が同席している。

会食はどれくらいあるか

この記事で「会食」と呼ぶのは、首相動静に、首相が相手と食事をしたと記録されたものである。外国の首脳を迎えた夕食会などの外交の会食、懇親会やパーティーへの出席、相手の書かれていない食事、秘書官や家族とだけの食事は、会食に入れていない(詳細)。比べる分母は、海外にいた日と外遊の出発日・帰国日を除いた「国内日」である。

首相国内日数会食会食が記録された日の割合国内100日あたりの会食1日あたりの面会件数
菅 直人1713215.8%18.75.99
野田 佳彦4469319.1%20.94.78
安倍 晋三2,4331,05940.0%43.55.35
菅 義偉36614930.1%40.76.25
岸田 文雄96437033.3%38.45.58
石破 茂35412531.4%35.36.14
高市 早苗315247.6%7.63.69

在任順。高市早苗は2026年10月4日まで。「会食が記録された日の割合」は、会食が1回以上あった国内日の割合。「1日あたりの面会件数」は、同じ国内日に記録された面会・会談の件数の平均。

会食が記録された日は、安倍晋三が国内日の40.0%、菅義偉・岸田文雄・石破茂が30.1〜33.3%、菅直人と野田佳彦が15.8%と19.1%。高市早苗は7.6%で、7人の中で最も低い。国内100日あたりの回数では、歴代6人の18.7〜43.5回に対して7.6回になる。

面会件数も、高市早苗は1日3.69件で、歴代6人の4.78〜6.25件より少ない。ただ、歴代6人と比べると、面会件数は6〜8割の水準なのに対し、会食が記録された日の割合は2〜5割の水準で、会食の方が開きが大きい。どちらも記者が把握したものだけが記録に載り、公邸の中での執務や打ち合わせは動静に載らない(「終日、公邸で過ごす」の記事)。

就任から1年の窓で比べても(菅直人は収録が在任の途中から始まるので除く)、会食が記録された日の割合は、菅義偉31.3%、岸田文雄32.3%、石破茂30.7%とほぼ3日に1日でそろい、安倍晋三は51.1%、野田佳彦は21.8%。在任のすべて(10月4日までの349日)がこの窓に入る高市早苗は7.6%である。

高市早苗の月ごとの会食

月ごとの会食は、就任した2025年10月から2026年3月まで、順に0回、0回、2回、1回、1回、0回だった。4月は3回、5月は5回、6月は6回に増え、7月と8月は1回ずつ、9月は3回、10月は4日までに1回。会食があった日は、いずれも1日1回である。

増えた時期は、国会の日程と重なる。1月23日に衆院が解散され、2月8日の総選挙の後の特別国会で、2026年度予算が4月7日に成立した。4月から6月の会食は14回で、国内日の17.9%に会食が記録されている。歴代6人の在任中の割合(15.8〜40.0%)の、低い方に入る水準である。特別国会は7月17日に閉会した。24回のうち15回が、予算の成立から閉会までの3か月余りに入っている。

どこで食べるか

高市早苗の会食24回の場所は、官邸12回、公邸8回、ホテル2回、ホテルの外の会館と店が1回ずつ。官邸の12回のうち11回は昼で、公邸の8回はいずれも夜だった。

ホテルと店の4回は、2025年12月の2回が東京・紀尾井町のホテルニューオータニでの党幹部らとの夕食(5日、26日)、2026年2月12日が霞が関の会館での有村治子総務会長らとの会食、7月14日が六本木の焼き鳥店での黄川田沖縄・北方担当相らとの会食である。4月以降の20回は、7月14日を除いてすべて官邸と公邸で開かれている。

歴代の首相と並べるため、会食を場所で分け、国内100日あたりの回数にした。

首相会食の合計公邸・官邸・私邸ホテル・店その他会食に占めるホテル・店
菅 直人18.73.514.60.678.1%
野田 佳彦20.96.113.90.966.7%
安倍 晋三43.512.129.22.367.0%
菅 義偉40.714.225.70.863.1%
岸田 文雄38.47.229.02.275.7%
石破 茂35.33.130.22.085.6%
高市 早苗7.66.31.30.016.7%

右端の列のほかは国内100日あたりの回数。「私邸」は議員宿舎を含む。「ホテル・店」はホテル内の店と、ホテルの外の料理店・会館など。「その他」は迎賓館、党本部、地方の施設、別荘など。端数の処理で、内訳の合計が「会食の合計」と合わない行がある。

公邸・官邸・私邸での会食は、高市早苗が国内100日あたり6.3回で、歴代6人の3.1回(石破茂)から14.2回(菅義偉)の範囲に入る。違うのはホテル・店での会食で、高市早苗の1.3回に対し、歴代6人は13.9〜30.2回ある。国内100日あたりの会食の差を場所で分けると、どの首相との差も、7割以上がホテル・店での会食の差にあたる。会食に占める割合では、歴代6人は63.1〜85.6%がホテルと店で、高市早苗は24回中4回の16.7%になる。

就任1年目どうしで比べても形は同じで、公邸・官邸・私邸での会食は歴代5人の3.3〜23.0回に対して高市早苗が6.3回(岸田文雄も6.3回)、ホテル・店での会食は歴代5人の17.6〜32.3回に対して1.3回である。

相手の顔ぶれが似ていても、場所は首相によって違う。衆院予算委員長らとの会食の場所は、菅義偉の2020年11月11日がホテル「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」の店、高市早苗の2026年4月21日が公邸で、どちらも正副官房長官が同席している。安倍晋三の参院予算委員長ら与党の理事との会食は、公邸だった(2015年2月26日、2016年3月8日)。

官邸での会食も、高市早苗だけのものではない。菅義偉は会食149回のうち52回が官邸で、ザ・キャピトルホテル東急の38回、The Okura Tokyoの24回と合わせた3か所で4分の3余りを占める。朝の会食も29回あり、7人の中で最も多い(ほかの6人は0〜13回)。岸田文雄も、場所別では官邸の55回が最も多い。

安倍晋三は公邸での会食が241回で、一つの場所としては最も多い。ただし会食1,059回の中では22.8%で、ホテルが22.0%、ホテルの外の店・会館が45.0%を占める。

誰と食べるか

会食の相手を、役職や肩書で分けた。

首相会食党・国会運営の役職者閣僚・政治家官邸スタッフ・官僚経済界報道関係学者・文化人家族・友人・支援者
菅 直人329.4%59.4%28.1%9.4%0.0%6.3%6.3%
野田 佳彦9320.4%46.2%32.3%17.2%6.5%6.5%0.0%
安倍 晋三1,05919.9%36.1%20.3%22.9%11.9%9.8%13.3%
菅 義偉14916.8%40.9%23.5%22.8%6.0%7.4%0.0%
岸田 文雄37037.3%47.8%21.1%19.7%2.7%4.1%1.1%
石破 茂12511.2%41.6%14.4%32.0%4.8%5.6%4.8%
高市 早苗2462.5%25.0%0.0%16.7%0.0%0.0%0.0%

それぞれの相手がいた会食の割合。1回の会食に複数の分類の相手がいれば、それぞれに数えるため、合計は100%を超える。「党・国会運営の役職者」は与野党の副総裁・幹事長・国対委員長、参院の幹部、予算委員長など。「閣僚・政治家」はそれ以外の閣僚・議員・知事・市長など。動静に「同席」と書かれた人は相手に含めていない。

高市早苗の会食24回のうち15回は、党・国会運営の役職者が相手だった。歴代6人では9.4%(菅直人)から37.3%(岸田文雄)である。公邸での夕食の相手は、4月21日の坂本哲志衆院予算委員長らから、梶山弘志国対委員長ら(5月8日)、松山政司参院議員会長ら(22日)、参院の国対委員長ら(6月5日)、藤川政人参院予算委員長ら(19日)、有村総務会長ら(26日)と続いた。官邸での昼食でも、麻生副総裁、鈴木幹事長、小林鷹之政調会長らと食事をしている。

公邸の会食8回のうち7回には、木原稔官房長官と官房副長官が同席している。残る1回は9月11日の閣僚との夕食会で、日本経済新聞は内閣改造を前にした慰労の席だったと伝えた。公邸の会食に正副官房長官が同席した割合は、岸田文雄が14回中9回、安倍晋三が241回中93回、石破茂が5回中1回、野田佳彦が17回中1回、菅直人が2回中1回。菅義偉には公邸での会食の記録がない。

公邸で党の役職者と食事をする形は以前からあり、2013年2月4日には安倍晋三が公邸で自民党の高市政調会長らと会食している。

経済界は4回で、経団連の筒井義信会長(5月29日)、経済同友会の山口明夫代表幹事(6月2日)、日本商工会議所の小林健会頭(6月29日)との官邸での昼食と、元企業経営者との昼食である。政治家では、菅義偉元首相や日本維新の会の馬場伸幸前代表、藤田文武共同代表と官邸で食事をしている。報道関係者、学者・文化人、家族・友人・支援者との会食はない。

相手の広がりは首相ごとに違う。安倍晋三は報道関係が11.9%、学者・文化人が9.8%、家族・友人・支援者が13.3%で、いずれも7人の中で最も高い。石破茂は経済界が32.0%、菅直人は閣僚・政治家が59.4%で、それぞれ7人の中で最も高い。

党・国会運営の役職者との会食が多い時期も、首相によって違う。暦月ごとに国内30日あたりで見ると、岸田文雄は4〜6月が6.1〜6.8回で、ほかの月(2.4〜5.2回)より多い。石破茂は2月(4.8回)、菅義偉は就任直後の2020年10月と11月(5回と8回)に多く、安倍晋三は月による差が小さい(1.0〜3.8回)。

2020年春、会食の記録が消えた

会食の記録は、外の状況にも反応する。安倍晋三の会食は、2013年から2019年まで毎年、国内日の38.4〜52.1%に記録されていた。2020年は1月が50.0%、2月が41.4%で、3月に12.9%(4回)へ下がり、4月と5月は0回になった。東京都に最初の緊急事態宣言が出ていたのは、4月7日から5月25日まで。6月は4回、7月は6回に戻っている。

同じ年の9月16日に就任した菅義偉は、9月から12月まで国内日の56.7〜77.8%に会食が記録されている。2回目の緊急事態宣言(2021年1月8日〜3月21日)の時期にあたる1月から3月は、1月3回、2月0回、3月1回だった。岸田文雄は、まん延防止等重点措置が続いていた2022年2月が7.1%(2回)で、前の月は32.3%、措置が終わった後の4月は67.9%だった。

記録に載る会食、載らない会食

首相動静は、官邸を担当する記者が首相の出入りを見て、確かめて書く記録である(首相動静の記事)。首相がホテルや店に出かければ、記者は移動を追い、行き先と相手が載る。公邸での会食は、来客の出入りを記者が把握したときに載る。

来客のない公邸での食事は載らない。電話やオンラインでのやりとりも、会食にはならない。秘書官や家族とだけの食事は、店でとれば記録に載り、公邸でとれば載らない。この記事が会食からそうした食事を除いたのはそのためで、除いた回数は首相ごとに0回から207回まで開きがある。

この記事が比べているのは、首相の食事そのものではなく、動静に記録された会食の回数と、その場所と相手である。

データについて

対象は、菅直人から高市早苗まで7人の首相の在任期間のうち、首相動静を収録した5,674日(菅直人は2011年3月11日から、高市早苗は2026年10月4日まで)。分母の国内日は、海外にいた日と外遊の出発日・帰国日を除いた5,049日である。

会食の数え方: 動静の行のうち、会食・食事・朝食・昼食・夕食・懇親会・レセプション・パーティーなどの語を含む3,590行を、次の順に分けた。(1) 外交の会食(894行): 海外での食事のすべてと、外国の首脳・要人が来訪した日の首相主催の夕食会・昼食会、ワーキングランチ、晩さん会など。相手が外国の要人や駐日大使、国際機関の幹部だけの食事もここに入れた。(2) 行事としての会食(401行): 懇親会・レセプション・パーティーへの出席、外国の来訪者がいない首相主催の会(自衛隊の指揮官との昼食会など)、視察や式典の中の食事、天皇・皇后や皇族との食事。(3) 相手と食事をした記録(2,169行)。(4) 相手の書かれていない食事(126行)。この記事の会食は、(3)から、相手が秘書官・秘書・事務所の職員だけ、または首相の家族・親族だけ(その両方だけを含む)の食事317行を除いた1,852回である。友人や支援者との食事は会食に含めた。会食の途中で人が加わったことを示す行(「〜加わる」)は数えていない。

秘書官や家族とだけの食事: 除いたのは、安倍晋三207回、菅義偉58回、岸田文雄33回、石破茂12回、菅直人6回、野田佳彦1回、高市早苗0回。菅義偉の58回(相手と食事をした記録207回の28.0%)はすべて秘書官とだけの食事で、うち25回が朝食だった。含めると、菅義偉の朝の会食は54回になる。

時間帯と場所: 朝は10時前、昼は10時から15時前、夜は15時以降に始まった会食とした。開始時刻のない118回(うち112回は2011〜2014年の記録)は、直前の行の時刻で補った。場所は記録の場所と本文から分けた。ホテル内の店はホテルに、店名がなく地名だけの記録(「赤坂」など。菅直人14回、野田佳彦20回、安倍晋三61回)はホテルの外の店に数えた。

相手: 役職や肩書の語で9つに分けた。表の7つのほかは外国と不明で、表では省いた。「学者・文化人」はスポーツ選手を含む。「〜同席」「〜同行」と書かれた人は相手ではなく同席者として数え、正副官房長官の同席は、官房長官か官房副長官が同席者にいる会食とした。

面会件数: 「1日あたりの面会件数」は、動静の面会・会談の行の数(来客が出たことを示す行を除く)を国内日で平均した値。誰と最も会っているかの記事は、1行に書かれた複数の相手を1人ずつ数えているため、値は一致しない。

収録元: 2014年9月15日までと2026年4月27日以降は朝日新聞など(一部の日は時事通信)の記事、その間は日付ごとの表形式で収録した資料による。両方がそろう2013年10月から2014年9月の安倍晋三の330日で比べると、食事の記録がある日は、表形式の資料が2014年6月までは朝日新聞の約6割、7月以降は同程度だった。この期間の集計には朝日新聞の記事を使っている。高市早苗の会食が記録された日の割合は、表形式の時期(2026年4月26日まで)が4.0%、朝日新聞などの時期が12.1%で、いずれも他の6人を下回る。会食が増え始めた4月10日・21日・24日は表形式の時期にあたる。日本経済新聞とテレビ朝日が伝えた会食(2025年12月のホテルでの党幹部との夕食、2026年4月10日の官邸での昼食、9月11日と10月2日の公邸での夕食)は、いずれも本サイトのデータにある。

夜の公務の記事との関係: 夜の公務の記事の「19時以降に始まった会食」は、食事の行を国内・海外や外交・行事で分けずに数えた値である。安倍晋三の506回のうち公邸の177回は、113回が外国の首脳らを迎えた日の首相主催の夕食会などの外交の会食だった。この記事の会食で数えると、安倍晋三の公邸での会食は時間帯を問わず241回、会食全体の22.8%になる。

本文の日付: 衆院の解散は本サイトの動静、総選挙の投開票日は選挙管理委員会の告知、2026年度予算の成立、特別国会の閉会、臨時国会の召集は時事通信などの報道による。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の期間(いずれも東京都)は、政府の発表による。

収録範囲と分類方法は「サイトについて」を参照。


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首相動静は、誰がどうやって書いているのか

首相動静とは、政府の公式記録ではなく、官邸を担当する各社の記者(総理番)が首相の出入りを見張り、来訪者に確かめ、分単位で書き残す記録。外出先は代表の社が追って各社で共有し、社が違っても時刻や文面はほぼ同じ。記者から見えない場所の出来事は載らない。公開は時事・日経が当日夜、朝日・読売・産経が翌朝5時。