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首相は国会に何時間いるか


2026年10月7日、水曜日の午後1時2分。臨時国会の衆院本会議が開会し、各党の代表質問が始まった。首相動静によると、高市早苗首相は午後3時24分まで本会議場にいた。翌8日は参院と衆院、9日は参院の本会議で、首相は代表質問に答えている。

この臨時国会では、首相が国会にいる時間そのものも議題になっている。日本経済新聞によると、与野党は会期中に国会改革を話し合い、与党側には首相や閣僚が予算委員会に出る時間を減らす案がある。自民党の村井英樹国会対策委員長は5月のインターネット番組で、首相の国会出席について「時間の使い方をゼロベースで見直したほうがいい」と語っていた。国民民主党の玉木雄一郎代表は10月5日、「首相の出席時間を減らすことが改革ではない」と述べている。

高市首相の国会出席は、これまでも数字で報じられてきた。日経は4月7日、2026年度予算の審議で首相が衆参の予算委員会に出た時間を70時間と計算し、石破茂前首相が前年度の予算の審議に出た118時間の6割ほどだと伝えた。

首相は国会にどのくらいいるのか。その時間は何で決まっているのか。菅直人から高市早苗まで7人の首相動静から、首相が本会議と委員会にいた時間を数えた。

国会に出た日の長さは、7人の首相でほぼ同じだった。予算審議の時期は1日5時間前後、それ以外の時期は3時間から4時間弱で、首相ごとの差は、何日出たかから生まれる。時間の6割は予算委員会で、当初予算の審議中に首相が予算委員会にいた時間は、この15年で減ってきた。2026年度の71.9時間は15年度で最も短く、石破前首相との差を分けると、審議の期間が短かったことの方が、期間1日あたりの出席の差より大きい。会期で数えると2026年の特別国会は15年で最も少なく、1年で数えると歴代の首相の範囲に入る。

国会に出た日の長さは、7人ともほぼ同じ

この記事で「出席時間」と呼ぶのは、首相動静に、首相が衆参の本会議場か委員会室にいたと記録された時間である。開会から散会までの時刻で数え、昼の休憩は含めない。院内の大臣室での待機、議長応接室でのあいさつ、開会式、議員会館での用務、国会の外での党首討論会などは入れていない(詳細)。

首相収録日数会期中の平日出席した日出席した日の割合出席時間出席した日の平均
菅 直人1751185644.9%205.7時間3時間40分
野田 佳彦48122113258.8%576.1時間4時間22分
安倍 晋三2,8131,15159050.6%2,403.7時間4時間04分
菅 義偉3831336548.1%264.9時間4時間04分
岸田 文雄1,08841422252.7%887.4時間4時間00分
石破 茂3851337959.4%306.9時間3時間53分
高市 早苗3541527649.3%276.1時間3時間38分

在任順。菅直人は2011年3月11日から、高市早苗は2026年10月9日まで。「会期中の平日」は国会の会期中の月曜から金曜(祝日と年末年始を除く)。「出席した日の割合」は、会期中の平日のうち出席時間がある日の割合。「出席した日」には、会期の外に開かれた委員会(閉会中審査)に出た日も含む。

出席した日の平均は、7人とも3時間40分前後から4時間20分前後の間に収まる。会期中の平日に出席した日の割合は、44.9%から59.4%まで開いている。

出席した日の長さは、首相よりも時期で変わる。国会の召集から当初予算の成立までの予算審議の時期に限ると、出席した日の平均は高市早苗の4時間46分から野田佳彦の5時間39分まで。それ以外の時期は、菅義偉の2時間57分から野田佳彦の3時間52分までになる(菅直人は収録が2011年3月11日からなので、予算審議の時期の値はない)。高市早苗の予算審議の時期の4時間46分は6人の中で最も短く、次の石破茂(5時間4分)との差は18分。それ以外の時期の3時間12分は、7人の中ほどにある。

日経の記事にある「予算委は1日7時間ほど」は、朝9時ごろから夕方5時ごろまで、昼の休憩をはさんで開かれる日にあたる。首相が予算委員会に出た日のうち、その日の予算委員会が5時間以上だった日は、菅直人の46%から菅義偉の81%まで。高市早苗は34日のうち19日(56%)だった。

時間の6割は予算委員会

出席時間を、どの会議にいたかで分けた。

首相予算委員会本会議その他の委員会党首討論
菅 直人51.9%18.1%29.5%0.5%
野田 佳彦55.7%21.8%22.0%0.6%
安倍 晋三62.6%21.3%15.8%0.3%
菅 義偉64.6%25.4%9.7%0.3%
岸田 文雄62.4%27.6%9.8%0.1%
石破 茂63.5%29.2%6.1%1.3%
高市 早苗61.1%30.9%7.0%1.0%

出席時間に占める割合。「その他の委員会」は予算委員会以外の常任委員会・特別委員会(決算委員会を含む)。

予算委員会が出席時間の52〜65%を占める。本会議は、所信表明演説や施政方針演説、代表質問、法案の採決などで、どの会期にも入る。

予算委員会と本会議のほかの委員会は、菅直人の29.5%、野田佳彦の22.0%、安倍晋三の15.8%から、菅義偉より後の4人では6.1〜9.8%に下がった。2011年から2015年ごろは、東日本大震災の復興、消費税の増税、平和安全法制などを扱う特別委員会に、首相が半日から終日出ていた。

予算審議の時間は15年で減ってきた

予算委員会の時間の多くは、毎年1月から3月ごろの、当初予算の審議に入る。国会の召集から予算の成立までに、首相が予算委員会にいた時間を年度ごとに並べた。

年度首相召集から成立まで予算委員会に出た日予算委員会にいた時間
2012野田 佳彦73日28日163.3時間
2013安倍 晋三108日35日193.2時間
2014安倍 晋三56日23日145.2時間
2015安倍 晋三74日27日152.7時間
2016安倍 晋三86日24日142.2時間
2017安倍 晋三67日20日116.3時間
2018安倍 晋三66日22日125.0時間
2019安倍 晋三59日21日125.6時間
2020安倍 晋三68日20日122.2時間
2021菅 義偉68日21日129.5時間
2022岸田 文雄65日18日106.0時間
2023岸田 文雄65日18日100.0時間
2024岸田 文雄63日20日109.3時間
2025石破 茂67日22日119.3時間
2026高市 早苗49日14日71.9時間

「召集から成立まで」は、予算を審議した国会の召集日から当初予算の成立日までの日数。2011年度は、菅直人の収録が2011年3月11日からで予算の審議の大半が入らないので除いた。

予算委員会にいた時間は、2012〜2016年度は142〜193時間、2017〜2025年度は100〜130時間で、2026年度の71.9時間は15年度で最も短い。出た日数も、2012年度の28日、2013年度の35日から、2017〜2025年度は18〜22日、2026年度は14日になった。

「6割」を分ける

日経の数字は、動静で数えてもほぼ同じになる。2025年度予算の審議(1月24日の召集から3月31日の成立まで)で石破茂が予算委員会にいた時間は119.3時間、2026年度予算の審議(2月18日の召集から4月7日の成立まで)の高市早苗は71.9時間。比は0.60である。

この0.60は、審議の期間の長さと、期間1日あたりの出席の掛け算に分けられる。2026年は、1月23日に召集された通常国会の冒頭で衆院が解散され、2月8日の総選挙を経て、特別国会が2月18日に召集された。召集から成立までは、2025年度の67日に対して49日で、0.73倍。期間1日あたりの出席は、1.78時間に対して1.47時間で、0.82倍。0.73と0.82を掛けると0.60になる。

首相が初めて予算委員会に出た日(2025年は1月30日、2026年は2月26日)から数えても形は同じで、期間は61日と41日(0.67倍)、1日あたりは1.96時間と1.75時間(0.90倍)。どちらの数え方でも、期間の長さの差の方が、1日あたりの出席の差より大きい。

期間1日あたりの出席だけを比べると、2026年度の1.47時間(初めて出た日から数えると1.75時間)は、岸田文雄の3年度の1.54〜1.74時間(同じく1.64〜1.82時間)と同じ範囲にある。予算の成立の後も、二人とも同じ会期のうちに予算委員会に出ている。会期末までに、石破茂は7日・20.6時間、高市早苗は6日・26.8時間だった。

会期で数えるか、1年で数えるか

同じ出席時間でも、何で割るかで見え方が変わる。

首相会期中の平日1日あたり収録365日あたり就任から1年
菅 直人1.74時間429時間―
野田 佳彦2.61時間437時間545時間
安倍 晋三2.09時間312時間340時間
菅 義偉1.99時間252時間263時間
岸田 文雄2.14時間298時間289時間
石破 茂2.31時間291時間307時間
高市 早苗1.82時間285時間285時間

「会期中の平日1日あたり」は、出席時間の合計(週末や会期の外の出席を含む)を会期中の平日の日数で割った値。「就任から1年」は就任日から365日の出席時間。菅直人は収録が在任の途中から始まるので除いた。高市早苗は10月9日までの354日分で、どの欄も2026年10月5日からの臨時国会の5日分を含む(除くと収録365日あたりは277時間)。

予算を審議した会期ごとに、会期中の平日1日あたりの出席時間を比べると、2026年の特別国会(第221回)は1.60時間で、2012年から2026年までの15の会期の中で最も少ない。次は岸田文雄の2023年の通常国会(1.77時間)、安倍晋三の2018年の通常国会(1.81時間)。最も多いのは安倍晋三の2013年(2.58時間)と野田佳彦の2012年(2.45時間)である。高市早苗が就任した2025年秋の臨時国会(第219回、補正予算の審議を含む)は2.31時間で、平日が10日以上あったほかの臨時国会・特別国会の1.23〜4.29時間の範囲に入る。

1年あたりで数えると、高市早苗は285時間で、安倍晋三・菅義偉・岸田文雄・石破茂の252〜312時間の範囲に入る。菅直人(429時間)と野田佳彦(437時間)はこれより多い。就任からの1年どうしでは、菅義偉263時間、岸田文雄289時間、石破茂307時間、安倍晋三340時間、野田佳彦545時間に対して285時間である。

見え方が変わるのは、収録した日のうち国会の会期中だった日の割合が、首相によって違うためである。高市早苗は354日のうち222日(63%)で、野田佳彦の66%に次いで多く、安倍晋三60%、岸田文雄56%、菅義偉51%、石破茂51%が続く(菅直人は収録の期間がほぼ通常国会の会期と重なるので99%)。会期中の1日あたりは少なく、会期の日数は多いので、1年で数えると歴代の首相の範囲に入る。

国会に出る日、首相の一日はどう変わるか

国会の会期中で、首相が国内にいた平日を、本会議や委員会に出た日と出なかった日に分けた。

首相最初の公務(出た日)最初の公務(出なかった日)面会件数(出た日)面会件数(出なかった日)
菅 直人7:409:016.28.4
野田 佳彦7:319:195.97.5
安倍 晋三7:528:536.69.1
菅 義偉6:577:375.310.4
岸田 文雄7:548:546.39.4
石破 茂7:267:548.112.4
高市 早苗8:489:343.87.9

「最初の公務」は、その日の最初の公務の開始時刻の中央値(朝何時に公務を始めるかの記事と同じ定義)。「面会件数」は1日あたりの面会・会談の件数の平均。

国会に出る日は、7人とも最初の公務が早くなり、面会が少なくなる。早くなる幅は、石破茂の28分から野田佳彦の1時間48分まで。高市早苗は46分早く、出る日の8時48分は7人の中で最も遅い。日経は8月20日、高市首相が、予算委員会がある日の朝に秘書官らから説明を受ける「朝レク」をやめたと報じている。

国会に出た日の午前4時より前の記録は、深夜まで続いた衆院本会議、防災担当相や内閣危機管理監との協議、国家安全保障会議、外国の首脳との電話会談、外遊からの帰国などだった。国会の準備とみられる記録は、2025年11月7日の1件だけである。首相は午前3時過ぎに公邸に入り、3時5分から6時26分まで秘書官と打ち合わせをして、8時59分からの衆院予算委員会に出た。北海道新聞は、就任後初めての衆院予算委員会に向けた答弁の準備だったと伝えている。

答弁の準備にどれだけの時間を使っているかは、動静ではわからない。動静に答弁や勉強会と書かれた記録は、首相ごとに0件から9件しかない。公邸の中での執務も、来客がなければ動静に載らない(「終日、公邸で過ごす」の記事)。

データについて

対象は、菅直人から高市早苗まで7人の首相の在任期間のうち、首相動静を収録した5,679日(菅直人は2011年3月11日から、高市早苗は2026年10月9日まで)。

出席時間の数え方: 動静に記録された首相の居場所と時刻から、衆参の本会議場と委員会室にいた時間を、予算委員会・本会議・その他の委員会・党首討論に分けて合計した。開会から散会まで(休憩を除く)を数え、部屋の名前だけで内容の書かれていない記録は、部屋(予算委員会が開かれる衆院第1委員室・参院第1委員会室、本会議場、委員会室)で分けた。院内の大臣室や議長応接室での待機やあいさつ、各会派へのあいさつ回り、開会式、開会前に委員会室で閣僚と話した記録、部屋の間の移動は、出席時間に入れていない。議員会館での用務と、国会の外での党首討論会・選挙関係の用務も除いた。

時刻: 出席時間は動静の時刻で数えているので、国会の会議録の開会・散会の時刻とは数分ずれることがある。日経が伝えた予算委員会の出席時間(2026年度予算の審議で70時間、2025年度で118時間)は、動静で同じ期間を数えると71.9時間と119.3時間になる。

会期と平日: 国会の会期は、衆議院の「国会会期一覧」による。2026年10月5日に召集された臨時国会(第222回)は会期中なので、会期ごとの比較には入れていない。「会期中の平日」は、会期中の月曜から金曜のうち、祝日と年末年始(12月29日から1月3日)を除いた日。会期の外に開かれた委員会(閉会中審査)に出た日は7人で12日あり、出席時間には含めたが、会期中の平日の日数には入れていない。

予算の審議: 当初予算の成立日は、財務省の年度ごとの予算の資料などによる。「召集から成立まで」は、予算を審議した国会の召集日から成立日まで。2026年度予算は、1月23日の衆院解散の後、2月18日に召集された特別国会で審議された。会期ごとの比較の「予算を審議した会期」は、2012年から2025年の通常国会と2026年の特別国会。2011年の通常国会は、菅直人の収録が3月11日からで予算の審議の大半が入らないので、比較から除いた。

収録元: 2014年9月15日までと2026年4月27日以降は朝日新聞など(一部の日は時事通信)の記事、その間は日付ごとの表形式で収録した資料による。高市早苗の出席した日の平均は、表形式の時期より朝日新聞などの時期の方が短いが、これは時期の違いによる。予算の成立から会期末までの時期は、どの首相も出席した日が短く、高市早苗の2時間24分は、石破茂の2時間22分、岸田文雄の2時間39分と同じ程度である(菅義偉2時間28分、安倍晋三2時間51分、野田佳彦3時間46分)。

最初の公務と面会件数: 国会の会期中の、首相が国内にいた平日(外遊の出国日・帰国日と海外にいた日を除く)で比べた。面会件数は、動静の面会・会談の記録の数(来客が出たことを示す記録を除く)を日数で平均した値で、会食の記事と同じ数え方である。

本文の日付と報道: 衆院の解散、総選挙、特別国会の召集、予算の成立の日付は、本サイトの動静、衆議院の会期一覧、財務省の資料と報道による。国会改革の議論と与野党の発言は日本経済新聞(2026年10月5日)、予算委員会の出席時間は同(2026年4月7日)、「朝レク」は同(2026年8月20日)、2025年11月7日の答弁の準備は北海道新聞(同日)の報道による。

収録範囲と分類方法は「サイトについて」を参照。


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首相動静とは、政府の公式記録ではなく、官邸を担当する各社の記者(総理番)が首相の出入りを見張り、来訪者に確かめ、分単位で書き残す記録。外出先は代表の社が追って各社で共有し、社が違っても時刻や文面はほぼ同じ。記者から見えない場所の出来事は載らない。公開は時事・日経が当日夜、朝日・読売・産経が翌朝5時。